17、18日に横浜市で開く日本ワクチン学会で、阪大の岡田直貴准教授が発表する。
開発したのは直径1センチ程度の丸いパッチ。皮膚に貼り付ける面に微細な突起=写真=が230本ついている。突起は根元部分の直径が0.16ミリメートル、先端は0.04ミリメートルで、高さは0.8ミリメートル。貼ると皮膚に刺さり、突起部分に注入してある成分が溶けて吸収される。突起は小さいため、刺さっても痛みはほとんど感じない。
健康な19人を対象に、3種類のインフルエンザワクチンで実験した。突起に注射と同じ必要量(15マイクログラム)を入れて6時間貼った。3週間後に体内の抗体の量が欧州医薬品庁(EMA)が定める基準を満たしていることを確かめた。
ワクチンは通常、空気接触などによる酸化を防ぐため、冷温で管理する。突起内にワクチンを密封すれば酸化しにくくなり、常温で保存できる。消費期限も1年以上に延びるという。
貼るワクチンが実用化すれば、注射技術を持つ医師や看護師がいない場所でも使えるようになる。使用時の痛みがほとんどないため、子どもに接種しやすい。ワクチンを手軽に使えるようになれば途上国などで需要が期待できる。

(2012年11月17日・日経新聞)